木津川市鹿背山(かせやま)で、祖父の代から彫刻を営む一家に生まれた水島太郎さん。それぞれ偉大な功績をもつ祖父と父の存在を身近に感じながら、20代で渡仏して画家のマーク・エステル氏のアトリエでも制作活動を行いました。
天平時代の仏像彫刻に多用され、父の石根さんがその復活に尽力した脱活乾漆(だっかつかんしつ)技法は、漆と麻を使った彫刻表現の一つ。粘土で大まかな形を作り、その上に漆と砥粉(とのこ)を混ぜて塗り込んだ麻布を貼り付けて乾燥させ、乾ききったら中の粘土を取り出し完成。奈良・興福寺の「阿修羅像」でも使われているこの技法に可能性を見いだし、現代彫刻における新たな展開を目指して活動されています。
(記事執筆:西尾晶子(京都府地域アートマネージャー・山城地域担当))