黄檗宗(おうばくしゅう)大本山・萬福寺の境内にあるギャラリーカフェ。宇治市内を中心に福祉事業などを行う株式会社和合舎によって運営され、2021年6月よりアーティスト・イン・レジデンスプログラムも行われている。
時代の変遷とともに地域でのお寺の役割も移り変わる中、萬福寺経営陣からの「地域の役に立てるお寺でありたい」という想いを受け、アーティストと地域の人たちとの交流拠点としてアーティスト・イン・レジデンスを行いながら、新しいアートの潮流を発信している。
これまでに、国内外の、主に現代アートのアーティストたちが滞在制作を行う。アーティストたちが、SNSなどでお寺の情報を発信したことで、萬福寺自体も、”アーティストがいるお寺”として注目を集めている。

(記事執筆:西尾晶子(京都府地域アートマネージャー・山城地域担当))

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MESSAGE

代表者から一言(地域の魅力)

宮崎強
株式会社和合舎 代表取締役

萬福寺を開創した隠元(いんげん)禅師は、江戸幕府によって中国の明から招聘された際、黄檗宗という宗派とともに、インゲン豆や煎茶、明朝体など、様々な文化を日本に持ち込みました。そんな、古くから文化の発信拠点であった萬福寺の香福廊で、お寺とアーティスト、地域の人たちとの新しいコラボレーションができたら、と思っています。

推薦者から一言

西尾晶子
京都府地域アートマネージャー・山城地域担当

様々なアーティストが入れ替わり滞在し、日々新たなアート作品が生み出されている、宇治のアートの拠点の一つです。お寺ならではのゆったりとした空気の中、滞在するアーティストとの交流を通して、アートが生まれる過程を体感できるのが、とても魅力的。今後も地域の人たちを巻き込みながら、多彩な展開を見せてくれそうです。

SCENE シーン

黄檗宗大本山・萬福寺の三門。朝夕のお勤めなどの儀式では、銅鑼(どら)をはじめ様々な鳴り物を使う読経が行われ、中国寺院の伝統が残された幻想的なシーンに出くわすことも。

広い境内の一角にある香福廊。

滞在したアーティストたちが、それぞれの朱印を残している御朱印貼。2023年10月に滞在したアーティストnonさんが描いたページ。

nonさんが、ここを訪れる人たちのために制作したグッズ。れんこんの産地・茨城県在住のnonさんは、萬福寺の総門を入ってすぐの放生池を美しく彩る”蓮”をモチーフに様々な作品を制作されました。
※アーティスト朱印の対応は滞在アーティストにより異なります。

2024年1月から滞在している、日本画家の赤野美紀さんの制作現場。普段は宇治市内を拠点に活動する赤野さんのように、仕事と子育ての合間に制作を進めるアーティストもいます。

赤野さんが岩絵の具で描いた、淡い色合いの世界観が広がる香福廊ギャラリー。週末には、地元の人たちや観光客の方々とアーティストが、コーヒーを飲みながら談笑する姿も見られるそうです。