環境問題や社会問題をテーマに国際的に活動するアートユニットです。1990年代に東京で出会い、オーストラリア、沖縄へと移ったのち、2015年に京都府南丹市園部町に移住されました。
 南丹に来てから、作品制作と並行して新たに有機農業にも取り組み始めたそうです。これまで環境問題や社会問題をテーマにしてきたふたりにとって、それは自然な流れだったのかもしれません。
 新型コロナ感染症が猛威を振るい、国際的な活動が著しく制限されるようになったため、自分たちの生活圏内に作品を鑑賞するための場所を作ろうと考え、南丹市八木町神吉地域の民家を改修、2022年8月にアートハウス「夢」としてオープンさせました。

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MESSAGE

クリエイターの声(地域の魅力)

私たちのアートハウスは、美しい里山にある小さな集落のなかにあり、その前に小さな川が流れています。小川の脇には一軒の水車小屋があり、その情景が黒澤監督の映画《夢》の「水車のある村」を思い起こさせたので、「夢」と名付けました。

推薦者から一言

宮下忠也
京都府地域アートマネージャー・南丹地域担当

このパンデミックの時代だからこそ、作品とリアルに対峙できる場所の重要性が増しています。美しい里山という静かな環境の中で、ゆったりと米谷 健+ジュリアの作品を楽しんでみてはいかがでしょうか。

WORKS 活動紹介

のどかな里山にあるアートハウス「夢」(写真中央右の建物)

米谷 健+ジュリアの代表作のひとつ《クリスタルパレス:万原子力発電国産業製作品大博覧会》。紫外線に反応して発光するというウランガラスの特性を利用して作られた連作で、シャンデリアのひとつひとつに原発保有国の国名が付けられており、それぞれその国の原発の総出力量に比例した大きさになっています。2011年の福島第一原発の事故を受けて制作を始めた作品で、放射能の怖さや不気味さが、幻想的な美しさによって表現されています。この作品ももちろん、アートハウス「夢」で見ることができます。

アートハウスの玄関には、インスタレーション作品《スイートバリアリーフ》(2009)の写真が展示されています。第53回ヴェネチア・ビエンナーレにオーストラリア代表として出展した作品で、ケバケバしい色彩の珊瑚を象った砂糖菓子を手にする女性たちの後ろに広がる、大量の白砂糖で作られた珊瑚礁のビーチは、世界規模で発生している珊瑚の白化(死滅)現象が、地球温暖化だけではなく、大規模な砂糖プランテーションにより引き起こされているという近年の研究がもとになっています。

《Dysbiotica(鹿)》(2020)
白化した珊瑚や微生物が寄り集まり鹿のかたちになっている作品。多様な微生物群によるミクロ世界の崩壊が、私たちが視認しているマクロ世界の崩壊へと連鎖するという、南丹で有機農業に携わるようになったことで得た実感から生み出された作品。

《Global Warming is Over! If you want it(地球温暖化は終わった!あなたがそう望むなら)》 (2010/2022)
アートハウス2Fにあるベッドルームは部屋自体が作品。2010年にメルボルン市のフェデレーションスクエアで実施したパフォーマンスを再構築したもので、1969年のジョン・レノンとオノ・ヨーコによるパフォーマンス「Bed In」のパロディになっています。