READING KYOTOHOOPを深める

[事業レポート]Kaico-参加型アートプロジェクト【実践編】「町を縫う in 京丹後」

丹後地域|丹後地域全域

 

2023年8月18日(金)~11月4日(土)にかけて、丹後地域で開催した地域プログラム『Kaico-参加型アートプロジェクト』。丹後地域のマテリアル(資源)である「布」と「糸」を使って、それぞれの町が持つ個性を1つの作品に作り上げ、展示までを参加者の皆さんに体験いただきました。

学ぶ編・実践編・共有編と3つのプログラムのなか、今回は3市町で行った実践編「町を縫う」ワークショップのうち「町を縫う in  京丹後」の様子を、地図と写真で振り返るレポートをお届けします。

2023年度地域プログラム
Kaico-参加型アートプロジェクト【実践編】「町を縫う in  京丹後」レポート

▼目次

実践編「町を縫う in 京丹後」概要
「町を縫う in 京丹後」まち歩きルート
写真で切り取った“町の形”
写真で振り返る、「町を縫う in 京丹後」
Kaico-参加型アートプロジェクト 全体概要

記:甲斐少夜子(京都府地域アートマネージャー・丹後地域担当)
編集:大賀由佳子(京都府文化芸術課・専門人材)

 

実践編「町を縫う in 京丹後」概要

日時|2023年9月9日(土)9:30‐17:00
参加数|18名
講師|西尾美也(美術家)*オンラインで参加
ガイド|田中智子
クリエイティブ・リーダー|武田美貴(デザイナー)
集合場所|京丹後市役所峰山庁舎前
まち歩き|金刀比羅神社周辺
制作会場|金刀比羅神社斎館和室(社務所)
持参物|スマートフォンまたはデジカメ、飲み物、昼食、工作用ハサミ、布用ハサミ

「町を縫う」とは?
美術家の西尾美也氏が2014年に考案した、地域のまち歩きと布端材を活用したテキスタイルワークショップ。今回は丹後地域の特性を活かして、織物工場で眠っている「布」と「糸」を使用し、ワークショップを実施しました。

 

実践編「町を縫う in 京丹後」まち歩きルート

京丹後市役所峰山庁舎前発

↓峰山総合福祉センター(元丹後織物工業組合本部事務所)
↓ちりめん苑
↓吉村家住宅*
↓御旅市場
↓狛猫アートシャッター
↓田中家具店(本通り)
↓金刀比羅神社*(休憩)
↓吉村家別荘*(桜山荘)
↓吉村機業株式会社(鋸屋根の工場)
↓琴平新地・検番
↓新地通り
↓スナック小鈴
↓吉村機業株式会社第2工場
金刀比羅神社* 着

*日本遺産「丹後ちりめん回廊」構成文化財

 

 

 

写真で切り取った“町の形”

左 上|金刀比羅神社こまねこの足
上中央|御旅市場アーケード商店街の看板
右 上|吉村家別荘(桜山荘)の室内装飾
左 下|峰山総合福祉センター(元丹後織物工業組合本部事務所)の外壁
下中央|吉村家住宅のおくどさん
下 右|吉村家別荘(桜山荘)への道端に自生したキノコ

 

写真で振り返る「町を縫う in 京丹後」

 

9:30-11:30「町を撮る」
まち歩きをしながら写真を撮る

ちりめん苑から峰山総合福祉センター(元丹後織物工業組合本部事務所)の建物の説明をするガイドの田中智子さんと参加者たち。田中智子さんは京丹後市観光公社理事長であり、こまねこまつり実行委員会の代表でも活躍されています。

日本一短いアーケード(54m)御旅市場。入口看板には羽衣天女が描かれています。

丹後地方で3番目に高い磯砂山(いさなごさん)を一望できる吉村家別荘。別名・桜山荘。“ちりめん王”と呼ばれ、丹後ちりめんの発展に尽力した吉村伊助により、大正8年に建てられた近代建築です。丹後ちりめんの展示販売会なども行われていたお屋敷。今回は特別に拝観させていただきました。

吉村家別荘(桜山荘)は欄間、照明器具、襖の引手などの意匠が特徴的で、参加者も興味を惹かれていました。

日本で唯一の“狛猫”が機織養蚕の守護神として奉納されている金刀比羅神社では、脇坂宮司に神社の歴史をお話していただきました。

琴平新地を抜けた先には元芸子の小鈴さんがママのスナック小鈴があります。
丹後ちりめん全盛期の町の賑わいを今に伝えてくださる貴重な存在です。隣には今でも機織りの音が聞こえてくる織物工場(吉村機業株式会社第2工場)があります。

まち歩きの最後にはオンライン中継で、講師の西尾美也さんにまち歩きの感想をお伝えしました。

 

11:30-12:15「町を振り返る」
撮影した写真を共有

ガイドの田中智子さん、金刀比羅神社宮司の脇坂さんにも参加いただき、一緒に撮影した写真を見ていきました。

脇坂宮司の「これはどこかな?」という問いかけに、「本通りの吉村商店(吉村家住宅)さんの駐車場を挟んだ横の建物の雨といです」と参加者が回答すると、脇坂宮司は「あ~、あそこに昔郵便局があったからなぁ~、よう見つけんなったなぁ~」と。参加者の目線と、地元の人の記憶が交差して新たな視点が見出されました。

 

12:15-13:30 休憩(昼食)

地域の人たちにはお馴染みである峰山町にある「食事処みその」さんのお弁当をいただきました。シャインマスカットも京丹後ならではのデザートです。自己紹介をしながらのランチタイム。

 

13:30-14:30「町を切り取る」
形・模様の切り出し・型紙作り

京丹後の“町の形”は猫の絵馬、狛猫の目など、金刀比羅神社で見つけたものが多くありました

参加者のなかには夏休みに帰省していた大学生も。世代や地域コミュニティの違う参加者との交流等ができたことにより、地元だけれど知らないことがたくさん見つかり、まち歩きの醍醐味を体感したようです。

クリエイティブ・リーダーの武田美貴さんが、土台にする大きい“町の形”を描いているところ。選んだ8個の“町の形”にも美貴さんの感性が表れています。

金刀比羅神社の狛猫に因んだ、猫柄の生地は京丹後市大宮町の織物事業者さんにご提供いただきました。

 

14:30-16:30「町を縫う」
町の形・模様を縫う

「Kaico-参加型アートプロジェクト」で与謝野のクリエイティブ・リーダーを担っていただいた新井勝子さんは、【実践編】「町を縫う」を宮津での実施も含めた全3回に参加。ブランケットステッチの教え方も板についています。

 

16:30-17:00「企画会議」
最終作品までの制作工程を共有、本日の振返り

最後の記念撮影。金刀比羅神社社務所に元々飾ってあるつるし飾りは地域の方の作品です。機織りで手仕事が好きな方が多い地域なのだと感じます。

実践編「町を縫うin 京丹後」には、広報のためアートマネージャーの甲斐少夜子が出演したFM京都『α-STATION』の放送を聞いて参加くださった京都市内の親子がいらっしゃいました。アートプロジェクトへの参加が、京丹後への日帰り旅にもなり、丹後地域を楽しんでいただけただけでなく、地域にとっては関係人口の創出にもつながりました。3地域を全回ご参加いただいた方、2回参加の方もいらっしゃり、顔馴染みになって仲良くなった方もいらっしゃいました。織物事業者さんは、自社製産生地とは違う生地との出会いもあったようです。地元を歩くことで発見した町の新たな魅力。皆さんそれぞれに思いがけない出会い(邂逅)があったようです。

 

 

2023年度地域プログラム(丹後)
『Kaico-参加型アートプロジェクト』全体概要

会期| 2023年8月18日(金)〜11月4日(土)
参加| 無料
参加者・来場者数|計1,584名
主催|京都:Re-Search実行委員会(京都府、宮津市、京丹後市教育委員会、伊根町、与謝野町、海の京都DMOほか)
助成|令和5年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業

そのほか、参加アーティストのプロフィール・協力等の詳細は▼こちら
2023年度事業報告書(PDF)