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【活用事例レポート】「まねっこ三味線、兵庫県へ」

2025年度の地域プログラム(南丹)、まねてまねぶ伝統芸能「まねっこ浄瑠璃」の取組が京都府外へ広がった事例をご紹介します。当プログラムが兵庫県在住の高校生の目にとまったことで、「まねっこ浄瑠璃」のワークショップの一つ「まねっこ三味線」(※)を取り入れた授業が兵庫県で開かれ、中高生たちが伝統芸能への理解を深めました。

(※)「まねっこ三味線」
京都:Re-Search実行委員会が主催し、2025年9月に京都府京丹波町で開催したワークショップ。京丹波町で受け継がれる伝統芸能、和知人形浄瑠璃の三味線を“まねっこ”して、オリジナルキットにより三味線の制作・演奏体験を行った。

開催概要

タイトル|課外授業「伝統芸能に出会う日。~伝統芸能の授業改革~」
日 時|2025年12月18日(木)13:00~15:30
会 場|西宮市立中央公民館
講 師|山成研究所(辰巳雄基、うー、アシスタント:中井梓太郎)
参加者|学校法人角川ドワンゴ学園N高グループ、N中等部の生徒約20名
主 催|学校法人角川ドワンゴ学園N高グループ政治部

「まねっこ三味線」、兵庫県へ

2025年12月兵庫県西宮市で、学校法人角川ドワンゴ学園のN高等学校、S高等学校、R高等学校、N中等部の生徒を対象に、次世代が伝統芸能と出会う入口を広げることを目指した課外授業「伝統芸能に出会う日。~伝統芸能の授業改革~」が行われました。この授業を企画したのは、N高等学校2年生の中瀬結愛さんです。中学の3年間に部活動で淡路人形浄瑠璃を学び、現在はプロの三味線奏者を志している中瀬さん。ある時、自身が伝統芸能と出会う原点となったその部活動が、地域移行されることを知りました。これにより、子ども達が伝統芸能に触れる機会が減ってしまうのではないかという危機感を抱き、若い世代が伝統芸能に触れ、理解を深める授業を発案します。そのような折に、淡路人形座で手にした「まねっこ浄瑠璃」のチラシから、身近な材料で人形浄瑠璃に使用される三味線をつくる“まねっこ三味線”のワークショップを知り、三味線制作を取り入れた授業を企画し、山成研究所に講師を依頼しました。

授業には、東京や岐阜をはじめ全国各地から約20名の生徒が参加しました。授業前半には、中瀬さんの「あなたが住んでいる地域には、どんな伝統芸能がありますか?」などの問いかけにより、参加者それぞれが伝統芸能について考えを深めました。続いて、山成研究所の辰巳さんから「まねっこ浄瑠璃」の紹介や“まねっこ三味線”に込めた思いなどが語られました。生徒たちはその話に耳を傾け、浮かんだ疑問などを辰巳さんに投げかけ、理解を深めていきました。

中瀬さんが、人形浄瑠璃で使われる太棹三味線と“まねっこ三味線”の演奏を披露。
生徒たちは、二つの三味線の音色を聴き比べたり、見比べたりしました。

 

授業の後半では、生徒たちは“まねっこ三味線”の制作を通して三味線ならではのつくりや音を奏でる難しさを体感していました。今回は、三味線に触れるのが初めてという生徒たちばかり。辰巳さんは、初めてだからこそ芽生える生徒たちの関心の高さや吸収力を感じたそうです。

授業終了後、中瀬さんは次のように語り、その言葉から授業の手応えを感じられました。「伝統芸能について皆に考えてもらうにあたって、まねっこ三味線の制作はとても親しんでもらいやすく、良い入口になると思っていた。楽器制作をすることで、作り手の目線から伝統芸能への考えを深めてもらえたと思う。」。

「まねっこ浄瑠璃」の取組が、次世代が伝統芸能に出会うきっかけとなり、理解を深める入口となりました。

生徒たちは完成した“まねっこ三味線”を抱え、それぞれ全国各地へ帰って行きました。その姿は、伝統芸能の未来に希望を抱かせました。

記事執筆:杉 愛(京都府地域アートマネージャー・南丹地域担当)

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